チャゲアスと逮捕と日常生活

7月6日、バドミントンでさわやな汗を流していたところに、りべるたんの社会運動系の運営者が逮捕されたという連絡が届いた。全く予想していないタイミングに困難は突然に訪れる。さわやかな汗は冷や汗に変わり、これでバドミントンはしばらくできないだろうと覚悟を決めた。

そしてラケットを置き、拡声器を握る慌しい21日間の日々は始まった。

早期釈放を訴える救援活動がスタート

早期釈放を訴える救援活動がスタート

 

冒頭でさらっと逮捕と言ったが、りべるたん自体は集う人の過激さ・自由さゆえ、大体年がら年中365日、何かしらのアクシデントやトラブルが発生している空間である。主要業務のひとつにアクシデント・トラブル対応を掲げてもいいくらいに、とにかく色々なことが起こる。要は逮捕ということがそんなに珍しくない空間なのだが、とはいってもそんなりべるたんの中でも社会運動系の人の逮捕は最重要アクシデントの一つに上げられる。

逮捕されると最長23日間の留置所で勾留される(世界的に見るとそもそもこの勾留の長さは非常におかしい話である)。そして、運動系の逮捕の場合は長期の勾留となることが少なくない。その勾留期間の間に、僕たちは獄中の仲間を支える各種行動やまた弁護士さんの接見等のために必要な資金を調達をし、また警察によるほぼ嫌がらせとしか思えない家宅捜査を受けることとなる。

詳しくはこの辺りを見てもらいたいが、今回の場合は21日間の勾留で相当にタイトな日々が続いた。なお逮捕された運営者のために付しておくと、今回の逮捕は明らかな政治弾圧で、逮捕されるようなことは何もしていない。政治弾圧というと知らない人は驚くかもしれないが今の日本でもそういったことが頻繁に起こっている

 

 

僕はというと、今回の獄中の仲間が出てくるまでの行動において、地方裁判所前でビラを配ってこの問題の拡散および賛同者を募る「地裁前ガーディアン」という任務が一つ与えられていた。

不謹慎かもしれないが、この場所は政治的に非常におもしろい場所である。
連日さまざまな団体がビラを配ったり、裁判所の弾劾をしたりしている。僕はこの場所に連日通い、ビラを配る中で、顔見知りの方などもできたり、今まで知らなかった事件などについても知ることができた。

そのような政治的主張や豊かさが発信される場所において、21日間の活動の中で唯一一日だけ人で埋め尽くされた日があった。7月22日のチャゲアス関連の裁判だ。12時、いつも通りビラまきのために到着した僕の目には、勢ぞろいした各メディアの報道陣、そして傍聴券配布を待つ長蛇の列が映った。

21日間、本当にさまざまな人が、自己やあるいは誰かに訪れた司法の残虐な不正を、あるいは社会の矛盾を訴えていた。
証言だけで有罪とされてしまった痴漢事件の不当性と冤罪を訴える人たち(後に高裁判決で無罪判決を受けたという)。
何十年も獄中に閉じ込められている元学生運動家の無罪を訴える人たち。

しかし、芸能人の薬物をやったやらないという裁判の方にその何倍もの人の注目・メディアの注目が寄せられていた。

僕たちは、メディアと傍聴券配布待ちおびただしい人の波の横で、ビラを配り、拡声器で問題を訴えた。しかし、大方はまるで僕らが存在しないかのように無視をする。「この国の三権分立は…」とか「民主主義においてこの逮捕は…」という難しいこと言ってもフルシカト。「やーやーやー」とちょっとユーモアを混ぜて見ても冷たい視線が向けられるだけだった。

中日スポーツさんより。写真に映らないところで菅谷たち一生懸命演説・ビラ配り中。

中日スポーツさんより。写真に映らないところで菅谷たち一生懸命演説・ビラ配り中。

 

チャゲアス裁判の前日、僕たちは今回の行動の中で最大のものとなる獄中の仲間の早期釈放を訴えるデモを実施していた。
このデモは約80名の人が来てくださり、また運動面においては超党派的な可能性のある運動だという評価もある。しかし、その翌日には、傍聴券をもらえるかどうかわからないチャゲアス裁判のために平日の昼間にデモ参加者の5倍以上の人が地裁前に来ている。その内の大半の人は、僕たちの声に耳を傾けることはない。むしろ明らかな嫌悪を示されたりする。

政治や社会運動は、本当に難しいと思う。
本当に政治や社会保障が必要であろう人の大半は、そこへの興味を持たず、ときには唾もはきかける。政治や社会運動に関心を持った若く知性と情熱と正義心を持った若者は逮捕されたり、弾圧されたりする。運動体や運動の中心人物は、ごく一部のインテリにしかわからない論争や、ごく一部の活動家業界の人しか興味のない活動業界の人間関係の中で、消耗したりする。

そして、そうこうしている間に、消費税は増税し、雇用状況は劣悪になり、生活は貧しくなる。

 

運営者が逮捕されるまで、僕は少し政治や社会運動から離れたところにいた。
今回、その場所に戻る形になったけれども、この現場で戦いを続ける人は本当に立派だと思う。しかし、それと同時にこんなにも大きな無関心に覆われ、決して大きくはない業界内ではいがみ合いや論争が頻発している状況に対して、寂しさと、将来への怖さを感じる。

救援が一区切りつき、僕は元いた立ち居地に近いところに少しずつ戻っていく。
ただ以前感じていた政治の感覚と危機感を再認識して、元の場所に戻ろうと思う。

菅谷圭祐 について

横浜の山の方でリサイクルショップやってます。不用品回収、ご相談ください。経営理念「遊ぶように働く。働くように遊ぶ」。畑はじめました、三十路はじまりました。連絡先 09075254766 sugayakeisuke@gmail.com
カテゴリー: 生存報告, 考え事 タグ: , , , パーマリンク

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