けいおん!と現代における幸福の考察

11月15日、ニコニコ生放送にてけいおん!1期が一挙公開される。

現在、地球上で確認されている数少ないヒト科天使の平沢唯さん

現在、地球上で確認されている数少ないヒト科天使の平沢唯さん

僕はけいおん!を愛している。
アニメ放送全話は当然のこと、ニコ動に公開されているけいおん!関連の動画は一通りチェックした。映画けいおん!は3回見た。アニメも映画も、どちらとも初回に見たときには号泣、中学校の卒業式の10倍は涙した。

個人的な感性で言えばけいおん!はあしたのジョーと同等に世相を反映した、時代に残る作品であると思う。

しかし、悲しく残念なことに世の中にはけいおん!の良さを理解できない人もいる。「内容がない」「ただの萌えアニメだ」「国民総白痴化政策の一環だ」と、多くの誹謗中傷が寄せられることもある。

けいおん!の良さ、それは簡単に語る事はできない。
ストーリーは天下一品のこってりラーメンのように実は重厚で、登場人物ひとりひとりは天使のように神々しい。
けいおん!の素晴らしさを全て説明するのは、困難でかつ非常に時間の要することになる。そのため、ここではけいおん!の素晴らしのある一部を切り取って、全世界に訴えかけたい。

 

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けいおん!とは、私立桜が丘女子高等学校の軽音部の部活動を描いたストーリーになる。
平沢唯ら天使4名が廃部寸前、要は上級生の誰もいない軽音部に入部して物語が始まる。

軽音部スタート直後、彼女らは目標・夢を「武道館ライブ」と定める。
甲子園を目指す野球マンガが血みどろの練習をするように、ボクシングをすれば真っ白になるまで殴りあうように、天下一武道会の前には亀の甲羅を背負って修行するように、彼女らも努力あり、ケンカあり、涙ありの武道館ライブという目標までの道を歩むのかと思う。が、決してそのようなストーリは展開されない。

彼女たちの軽音部での活動の中心は、目標の達成を目指す練習ではなくメンバー同士の交流である。普段の活動はお茶を飲むことが中心で、合宿に行けば遊び呆け、彼女らが2年生になり、入ってきた新入部員には呆れられる(なお、この練習のしなさは2期にあたるけいおん!!では確信犯的にさらに顕著になる)。

けいおん!はこれまでのマンガやアニメの常識で見ていると、非常にフラストレーションの溜まる内容になる。

大体ずっとこんな感じで時間が過ぎていく

大体ずっとこんな感じで時間が過ぎていく

 

いつになったら物語が動き出すのか、校内の部活から外のライブへ武道館への階段を昇っていくのか、そう思っているうちに結局全く物語が動かないように見えるまま最終回を迎える。

けいおん!の最終回は平沢唯ら主人公たちが二年生の文化祭である。
彼女たちはそこで文化祭の催しのひとつとしてライブを行う。物語も終盤だというのにライブ前もいつも通りの萌えとドタバタの連続が展開され、「この文化祭にすべてをかける!」とか「ここから武道館を目指すんだ」とか、そういう意気込みは一切ない。

主人公たちの成長や、もっと強い敵やもっと大きな困難に立ち向かうことが部活系の暗黙の了解として見ていると、「この子達は部室で遊んでるだけじゃないか」と怒りすら湧くかもしれない。

 

しかし、この12話もかけた壮大な違和感に主人公の平沢唯がけいおん!の答えを提示する。
平沢唯は、ライブのMCでこのような話をする。

「目標は武道館と言って軽音部を始めましたが、ギターを買うためにバイトしたり、部室でお茶を飲んだり、別荘で合宿したり、わき目も触れずに練習に打ち込んできたとはとても言えません」

と、これまでの活動をまとめた後にこう締める。

「でも、ここが、今いるこの場所が、私たちにとっての武道館です」

 

自身の所属する高校の文化祭が武道館と同等の価値を持つ、あるいはそれ以上の場所であるとけいおん!は高らかに訴える。なお、わき道にそれるがこのシーンの直前の唯による軽音部の持つ意味の独白によって、ここが武道館発言はさらに補強される。気になる人はぜひチェックしてほしい。

けいおん!が12話かけて描いたのは、従来の右肩上がりで努力すれば報われる、一生懸命働けばそれ相応の見返りがあるであろうという前提の崩壊であり、かつ新たな幸福の提示になる。

努力しなくてもいいし、他人を蹴落とさなくてもいいし、能力が低くたっていい。そのことを否定しないし、むしろ肯定的に捉える。自分たちが活き活きと生きられて、承認が得られる場所にこそ幸福を置き、そこには強制された形での競争と成長はない(ここでは補足になるが、2期ではこの幸福の問題点に対して一定回答を示している)。

 

けいおん!の提示する幸福に対して賛否両論はあるだろう。しかし、けいおん!を見ることによって現代に生きづらさを感じている人に対してときに打開案を、ときに休息を与えてもらえるのではないかと思う。

菅谷圭祐 について

横浜の山の方でリサイクルショップやってます。不用品回収、ご相談ください。経営理念「遊ぶように働く。働くように遊ぶ」。畑はじめました、三十路はじまりました。連絡先 09075254766 sugayakeisuke@gmail.com
カテゴリー: けいおん!! タグ: パーマリンク

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